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ウラナミジャノメ  Ypthima multistriata


ウラナミジャノメ♂  2011年8月27日 愛知県豊田市
水田脇の果樹園に居た。

  図鑑の分布図では西南日本が広く塗られていますが、少なくとも本州ではその生息地は極めて局地的で、各地で減少が著しい種類です。知っている限りでも東海以西では岐阜県、和歌山県で既に絶滅している可能性もあります。各地に普通にいるヒメウラナミジャノメと違い、棲息できるためになにか微妙な要因が必要なのかもしれません。ヒメウラナミジャノメとは時期や棲息場所で微妙に住み分けをしているように思う産地もあります。
 河川敷にいたり、雑木林の周辺、水田の畦、果樹園といった場所にも生息していますが、本来は湿地、禿山、崖のような、樹林になりにくい特殊な環境に生息する種類で、人為環境への進出は二次的なものだと思われます。地域や環境によって発生時期や発生回数が違うなど、生態にも興味が尽きません。私が発見した滋賀県の産地は7月下旬に1回のみ発生するという特殊な経過をたどります。
 しかし、そういう興味よりも、数少ない生息地が次第に失われていく現状がとても心配です。個体数が少ない産地では採集されてしまうことも問題になりそうです。

♂  2008年6月14日 愛知県豊田市
愛知県ではなんでもない雑木林の周囲で見られることがある。

♂  2009年8月23日 愛知県豊田市
神社の境内にいた。愛知県では年によって2化が多かったり少なかったりするらしい。

♀ 2007年9月9日 浜松市浜北区
有名な産地だったが、2009年にブルドーザーが入って整地されてしまった。

♂  2006年7月22日 滋賀県大津市
この場所では7月下旬の年1化である。個体数は極めて少ない。

♂  2006年7月22日 滋賀県大津市

新鮮な♀(第2化) 2006年8月30日 奈良県橿原市
奈良県内の産地も極めて限られる。

新鮮な♀(第2化) 2006年8月30日 奈良県橿原市
奈良県内の産地も極めて限られる。

♂ ここでは普通年1化 2007年6月10日 兵庫県加古川市
ヒメヒカゲと混生するが少ない。

♂ 2008年6月29日 熊本県あさぎり町
畑の縁に普通に居た。

♂ 2005年9月23日 長崎県対馬市
対馬では多化性、各地で見られる。

♀ 2005年9月23日 長崎県対馬市

♂ 2005年9月23日 長崎県対馬市

♂ 2007年6月10日 兵庫県姫路市
山火事跡地に侵入して発生している。

♂ 2003年8月24日 京都府山城町
古い写真だが、京都府の写真が他になかったので載せてみた。
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