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ヒメヒカゲ  Coenonympha oedippus

ヒメヒカゲ
ヒメヒカゲ♀ 2006年 東海地方
月曜日のせいか、個体数は極めて少なかった。土日の間に徹底的に採集されてしまったのだろう。生息地に羽化直後と思われる♀しかいないというのは自然状態では考えられない。
 かつては東海地方・近畿地方ともに、丘陵地には湿地や禿山が点在し、あちこちにヒメヒカゲの姿が見られたはずなのですが、いま過去にヒメヒカゲの記録がある場所へ行ってみても、植林や開発で生息地が消滅していたり、残っていたとしても乾燥化したり遷移が進んだりしてヒメヒカゲの面影すらない場所がほとんどです。兵庫県南部では山火事跡の草原に生息している場合も多いのですが、市街地の近くではときどき山火事が起きて草原が更新されるというサイクルも今の時代では難しそうです。数少なくなったヒメヒカゲの生息地を維持するためには、人手を加え続けて草地を維持しなくてはいけないところも多そうで、これからの時代、ヒメヒカゲにはさらに困難が待ち受けているかもしれません。
 現在残っている有名な生息地では、酷い採集圧を受けてヒメヒカゲの姿がほとんどなく、採集者によると思われる踏み跡だけが一面に残っていることもあります。このような状況では採集のせいで蝶が減ったりしないという言い訳は全く通用しません。片っ端から何十頭も採集している人の姿を見ることもありますが、何がしたいんでしょうね。佃煮にでもして食べるのでしょうか。採集はほどほどにして、ヒメヒカゲをとりまく環境の変化にも目を向けてほしいものです。

※このページを見てヒメヒカゲを採集してやろうと思い立つような人が一人でも出れば、結果的にそれによってヒメヒカゲの生息地をまた失ってしまうことになるかもしれません。記録として残すためにもできるだけ写真には撮影市町村と撮影日を載せるようにはしていますが、ヒメヒカゲについては意図せずとも採集の参考にしてしまうリスクを考え、撮影場所と撮影日の記載を一部省かせていただいています。

※兵庫県では2008年からヒメヒカゲの生息調査、生息地の保全が行われています。採集はご遠慮ください。その他の地域でも当然採集を控えていただきたいと考えています。

♂ 2008年 長野県

♀ 2008年 長野県

♂ 2008年 東海地方
東海地方のヒメヒカゲ生息地は兵庫県以上に減少してしまっていて、採集圧も相当に酷い。

♂ 2008年 東海地方

♀ 2008年 東海地方

♀ 2007年 兵庫県
兵庫県南部ではかなり多くの生息地があったはずだが、現在残っている産地は少ない。

♂ 2007年 兵庫県

♀ 2007年 兵庫県

♂ 2009年 広島県
中国地方のヒメヒカゲは裏面地色が濃い。この場所ではかつてヒョウモンモドキがいたそうだが絶滅してしまっている。

♀ 2009年 広島県

交尾(左が♂) 2009年 広島県

♀ 2006年 東海地方

♀ 2006年 東海地方

♂ 2006年 東海地方

♀ 2006年 東海地方

♂ 2007年 兵庫県
コムラサキ幼虫
♀ 2007年 兵庫県

湿地の片隅にとまる♀ 2008年 東海地方
まだ最盛期を少し過ぎたあたりだが、狭い湿地にはこの♀1頭しか残っていなかった。


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