かつては東海地方・近畿地方ともに、丘陵地には湿地や禿山が点在し、あちこちにヒメヒカゲの姿が見られたはずなのですが、いま過去にヒメヒカゲの記録がある場所へ行ってみても、植林や開発で生息地が消滅していたり、残っていたとしても乾燥化したり遷移が進んだりしてヒメヒカゲの面影すらない場所がほとんどです。兵庫県南部では山火事跡の草原に生息している場合も多いのですが、市街地の近くではときどき山火事が起きて草原が更新されるというサイクルも今の時代では難しそうです。数少なくなったヒメヒカゲの生息地を維持するためには、人手を加え続けて草地を維持しなくてはいけないところも多そうで、これからの時代、ヒメヒカゲにはさらに困難が待ち受けているかもしれません。
現在残っている有名な生息地では、酷い採集圧を受けてヒメヒカゲの姿がほとんどなく、採集者によると思われる踏み跡だけが一面に残っていることもあります。このような状況では採集のせいで蝶が減ったりしないという言い訳は全く通用しません。片っ端から何十頭も採集している人の姿を見ることもありますが、何がしたいんでしょうね。佃煮にでもして食べるのでしょうか。採集はほどほどにして、ヒメヒカゲをとりまく環境の変化にも目を向けてほしいものです。
※このページを見てヒメヒカゲを採集してやろうと思い立つような人が一人でも出れば、結果的にそれによってヒメヒカゲの生息地をまた失ってしまうことになるかもしれません。記録として残すためにもできるだけ写真には撮影市町村と撮影日を載せるようにはしていますが、ヒメヒカゲについては意図せずとも採集の参考にしてしまうリスクを考え、撮影場所と撮影日の記載を一部省かせていただいています。
※兵庫県では2008年からヒメヒカゲの生息調査、生息地の保全が行われています。採集はご遠慮ください。その他の地域でも当然採集を控えていただきたいと考えています。 |