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ナガサキアゲハ Papilio memnon

ナガサキアゲハ
スルガテンナンショウにとまるナガサキアゲハ♀ 2006年5月6日 静岡県掛川市
静岡でもナガサキアゲハは飛んでいた。春型は前翅の白い鱗粉がほとんど出ない。
 昔はナガサキアゲハは九州や南の島へ行かないと見られないものだとずっと思っていました。それが、学生時代を過ごした京都では1990年代後半には市街地で黒いアゲハを見たらほぼナガサキアゲハというほど普通種になっていましたし、現在では愛知県でも知多半島ではごく普通に見られる存在になっています。
 急速な分布拡大はミカン栽培の拡大と温暖化の両方が原因になっていると思いますが、美しくて巨大な南のチョウが庭先を飛んでいる姿を見ていると、複雑な気分になってきます。

♀ 2012年5月24日 愛知県常滑市

ヒガンバナに来た♂ 2009年9月22日 愛知県南知多町

♀(上)を追う2頭の♂ 2009年9月22日 愛知県南知多町

クサギの花に来た♀ 2007年9月1日 愛知県常滑市

家の裏で羽化した♂ 2010年5月9日 愛知県大府市
ナガサキアゲハ幼虫
終齢幼虫  2008年9月20日 愛知県阿久比町

ヒガンバナで吸蜜する♀ 2005年9月23日 長崎県対馬市

ヒガンバナで吸蜜する♂ 2005年9月23日 長崎県対馬市

ハイビスカスで吸蜜する♂ 2005年11月28日 沖縄県那覇市

ランタナで吸蜜する♀ 2005年11月28日 沖縄県東村
ナガサキアゲハ有尾型
ナガサキアゲハ有尾型♀

2000年7月羽化  京都市左京区

 当時の自宅の近所にあったミカン類についていた卵を採集して飼育したところ、写真のような個体が羽化しました(SPINDA16号にて発表済)。長い尾状突起以外にも、腹部側面が黄色い点や、後翅中室に白斑が出る点など、図鑑によく載っている有尾型♀とほぼ同じです。
 早朝、自室で羽化したこのチョウを見て、寝ぼけているのだろうと思ってもう一度寝たことを懐かしく思い出します。昼近くになってまた起きて、ボンヤリしたまま取り押さえたのですが、ガラスケースの中でよく尾状突起を折らずに上手に捕まえられたものだと今でも思います。
 このときは同じ枝から3卵を採集し、♂1頭、♀2頭が羽化しましたが、もう1頭の♀は普通の無尾型でした。
 関西地方では有尾型の記録が他にもあるようなので、関西でも有尾の遺伝子を持った個体がいるのかもしれませんが、有尾型は無尾に対して優性らしいので、ときどき思い出したように無尾型から有尾型が出現するということはなく、もっと高頻度に有尾型がいなくてはいけないはずなのですが、そういう話は聞きません。そういうわけで、この個体も含めて有尾型は放チョウ由来かもしれないと思っています。

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