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ギフチョウ x ヒメギフチョウ(交雑個体)
Hybrid between Luehdorfia japonica and L. puziloi

ギフチョウ(交雑)
スミレの仲間で吸蜜する♂(ギフチョウとヒメギフチョウの交雑個体) 2007年4月30日 長野県白馬村
 この個体、飛んできて地面にとまったときにはヒメギフチョウのように見えました。ところが、スミレにとまったところを撮影するとどちらかというと雰囲気はギフチョウです。なんか変だと思い、よくよく見てみると、後翅外縁の斑紋がギフチョウではオレンジ色、ヒメギフチョウでは黄色のはずなのですが、この個体は中間の山吹色のように見えますし、前翅亜外縁の黄色条の一番下部分が波打つところはヒメギフチョウに近いような気がします。しかし、前翅亜外縁の黄色条の一番上の部分がずれているのはギフチョウの特徴です。困りました。全体的には明らかにギフチョウに近いのですが、あちこちからヒメギフチョウの香りがします。これはまさか混生地で稀に見られるという雑種ではないだろうか? しかしこの写真1枚からでは、色の薄いギフチョウだろうと言われても反論できそうにありません。

 そんなとき、運よく同じ個体を裏側から写した写真(下)がありました。不鮮明ではありますが、カタクリの葯の隣に腹端が写っています。そこの毛の色はよく見てみると黒色ではなく、腹部の他の部分より明るい褐色です。先輩から、これは紛れもなくヒメギフチョウの特徴だという指摘を頂くことができました。疑惑だったものが、ほぼ間違いないという自信に変わりました。これはギフチョウとヒメギフチョウの交雑個体の生態写真です。

 白馬村のこの別荘地はもともとギフチョウの生息地域のはずですが、近年ヒメギフチョウがよく目撃されているようです。私も深空別荘地内で、ギフチョウに混ざって飛ぶヒメギフチョウを撮影しました(写真)。ギフチョウとヒメギフチョウの混生地は隣の小谷村が有名ですが、現在ではここも立派な混生地と言えそうです。

上と同一個体
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